9割の人が知らない日常に潜むデジタルタトゥーの恐怖

アップロード=世界中に公開

どんな写真や小さな書き込みでも、ネットに投稿したものには炎上する可能性と危険性があります。

そして、一度拡散すると完全に削除することはむずかしく、自分が死んだあとも残り続けます。それをデジタルタトゥーといいますが、この言葉の意味はバカッターやお騒がせ動画などの炎上投稿だけではありません。

消したいのに消えない、消しても消しても残っている。ネット上に投稿されている自分の写真や実名を晒された書き込みが自らの意図と反するかたちで残っていたら、それもデジタルタトゥーです。

ネットはすべて公の場です。たとえインスタのアカウントに鍵をかけて非公開にしていても、ネット上に公開していることには変わりありません。もしフォロワーの1人がその写真をコピーしてSNSにアップしたら、そのアカウントが全体に公開されていたら、その写真は全世界の人に見られる状態になってしまいます。

たとえば、カフェで話した友達の悪口はその相手以外知るすべがありませんし、録音していなければ記録にも残りません。しかし、Twitterに投稿すれば、それは全世界の人へ発信していることとおなじになります。

実際にはツイートボタンをタップするだけですし、億単位の投稿が溢れるなかのひとつにすぎません。それが、あたかも友達に伝えるような感覚でネット上にアップしてしまう理由のひとつです。

ネットは日常の中にある当たり前の存在なので、もはや現実と区別するほうが難しいでしょう。しかし、その一線を越えると全世界につながるということを忘れてはなりません。

「消えない」ネットの恐ろしさは、あとから訪れる

なにも拡散や誹謗中傷だけがデジタルタトゥーではありません。日常生活で事件に巻き込まれたり世間の注目を浴びなくても、そのタトゥーはいつか消したいと思う日が訪れるかもしれません。

メイクで盛った自撮りの写真、彼氏と撮ったインスタ映えの写真、趣味で始めたYouTuberの動画、美容整形モニターの症例写真、小さくて可愛い息子の写真。あまり深く考えずアップした写真こそ、10年後、20年後に後悔しがちです。

ふざけて投稿するバカッターとは違い、これらには必ず投稿する理由があります。しかし、当時はその写真を公開することでなにかしらの恩恵を受けても、時間が経つにつれ状況は変化しますから、それが日常生活の邪魔をするようになります。

もちろん、ネットに残り続ける写真や情報になにも感じないのであれば問題ありません。しかし、消したいのに消えないという状況になれば、それは大きな悩みを抱えることになります。

たとえば、ラブラブな写真にうつる彼氏とは別れ新しい男性と結婚したとき、割引きにつられ契約した美容整形モニターの症例写真がきっかけで周囲に整形がバレたとき、大人になった子どもに幼い頃の写真を消してほしいと責められたとき。

ネット上に拡散していなければ大元の投稿を削除すればすみます。しかし、ほかのサイトやSNSに転載されそれがねずみ講のようにどんどん広がっていたら、もう完全に消すことはできません。

また、そのときにアカウントのパスワードを覚えていなければTwitterやFacebookといえど投稿を消すことはできません。

もはや生活の一部となったネット上に自分や友達との顔写真をアップする行為。しかし、そのときのノリや感覚ではなく、自己承認欲求を満たすためでもなく、その先にあるリスクや状況の変化も総合的に判断することで、将来の自分を守ることができます。

テレビの影響とデジタルタトゥーの関係性

有名なテレビ番組で紹介された、ニュースやバラエティ番組に出演した、芸能人としてデビューした、犯罪や事件に巻き込まれた・起こしたときなど、良くも悪くもテレビで取り上げられるとネットは盛り上がります。

すると、ネットニュースになり、まとめサイトが作成され、過去に投稿したSNSの写真は勝手に悪用されてしまいます。

まったく無関係の出来事でも、ある日突然、自分の写真や情報がネット上に拡散してしまうこともあります。それは、デマ情報の被害者になってしまったときです。まったく身に覚えのない罪をきせられ、画像はもちろん誹謗中傷やあることないことを晒されてしまいます。

テレビの影響はとても大きく世間の話題性も一気に高くなります。すると、人々はスマホ片手にググり、GoogleやYahoo!の検索結果は活性化され、ネットニュースは頻繁に配信され、記事のアクセス数は増え、SNSやブログは炎上していきます。

また、それは誹謗中傷や写真の拡散だけにすぎず、親しい友人、関連する投稿、写真のうつりこみをたよりに個人情報がかき集められていきます。まるでクモの糸をたどるように、小さな情報ひとつひとつをつなぎ合わせていくんです。これをモザイクアプローチといいますが、これは実名、自宅の住所、家族構成、職業、勤め先、職場の住所など一切公開していない情報も簡単にみちびき出せてしまう恐ろしい手法です。

世間の注目を集めただけで一瞬にしてプライバシーが侵害される。これは、昭和や平成のはじめにはなかったネット社会の恐ろしさです。

また、デマ情報こそ恐ろしいネット社会の闇です。デマ拡散の被害者にならないためには、インスタやFacebookで実名を公開しないこと、安易に顔写真やプライベートの画像を投稿しないことです。これだけで大きくリスクが軽減されます。

垂れ流しのテレビには残らなくても、ネットには永遠に残り続ける恐ろしさがあります。一度拡散しデジタルタトゥーとして残ってしまうと、どんなに過去の出来事でも検索すれば出てきてしまいます。

また、たった一度の過ちですら実名報道をうけると、ネットには前科前歴の情報が残り続けます。リアルとバーチャルの境界線はもはやありません。平穏に暮らすためには、まずは現実の生活を気をつける必要がありそうです。

街中に潜む炎上のタネ

誰もがスマホを持ち街中にカメラが溢れるなか、何気なく生活しているだけでもネットに晒されるリスクがあります。

たとえば、電車内でだらしなくぐったり寝た、露出の多い服装をした、店員に大声でクレームを言った、路上でケンカをした、あおり運転をしたときなど。思わずスマホで撮影したくなるようなこと、反響がおもしろそうなことはツイッターなどSNSのネタになりやすい。

昨今のニュース番組にはボカシ加工されたTwitterの投稿がよく登場します。迷惑行為があってはなりませんが、日常の些細なことも炎上の火種になってしまうということを覚えておく必要がありそうです。

自分がアップしたプライベートな動画や顔写真だけでなく、他人に盗撮に近いかたちで撮られた動画や写真にもデジタルタトゥーの危険があります。

一度拡散したら簡単には消せないネットの世界。だからこそ、おおもととなる写真やムービーを撮らない、撮らせないこと、ネタとなるような行動をしないことが大切です。それはスマホ、テレビカメラ、写真の写りこみなど方法は問いません。どんな場合でもネットに公開されるリスクがあるからです。

しかし、ここまで気をつかっていては日常生活に支障をきたします。自分はどこまでOKなのか許容できる範囲を見極め、このネット社会とうまく付き合うほうが賢い選択といえます。

一度入れたタトゥーは人生を台無しにする

からだに入れたタトゥーに後悔したら、レーザー治療で消すことができます。しかし、それにはお金がかかり痛みもともないます。そしてなによりも完全に消すことはできません。デジタルタトゥーもまったく同じです。不本意にもネット上に残り続ける情報は弁護士に依頼すれば消すことができます。しかし、それには着手金や1件につき数十万ほどのお金がかかります。そしてこれも皮肉なことに完全に消すことはできませんし、途方にくれるほどの時間がかかります。

どんなタトゥーも一度入ってしまった以上、なかったことにはできないんです。また、そのタトゥーはプライバシー、経済面、就職や仕事、身内や家族にまで影響することを忘れてはなりません。

デジタルタトゥーの恐ろしさを理解し、ITリテラシーをしっかりと持ち、そのきっかけとなるタネをまかないこと、自分の身は自分で守ること、予防することが大切です。