無気力で何もやる気がでないのは抗うつ薬のせいかも

長期間の服用が原則の抗うつ薬

気分が落ち込んだり社会的な不安が多かったり、考えすぎてつらい症状も精神科で処方された抗うつ薬を飲めば、ある程度は改善します。

抗うつ薬には三環系、四環系、SSRI、SNRIなどがあり、最近ではデプロメール、ルボックス、パキシルなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬のSSRIが人気です。

ちなみにデパス、レキソタン、ソラナックスなどは抗不安薬で『不安をやわらげて気持ちを落ち着かせる薬』です。

基本的には数ヶ月、数年単位のスパンで服用することが多い抗うつ薬。そのため、感覚がマヒするというかなにか慢性化してしまっている感覚に陥ります。

いいことも悪いことも消し去る魔力

抗うつ薬は『抑うつ状態や気分の落ち込みを改善する薬』。この言葉、当たり前のように目にしますが、実際によく考えてみてください。

本来、人間には感情があるので気分が落ち込んだり不安になることは当たり前です。その反面、よろこびや幸せな気持ちもあるわけです。

抗うつ薬はこの感情を制御する薬です。もちろん、ネガティブな感情だけを抑えるといった都合のいい話はなく、楽しみやよろこびの気持ちまで消し去られてしまいます。

「最近、旅行に出かけたいと思えない」「恋愛や結婚に対して消極的になった」「いつもの趣味があまり楽しめない」といったように。

うつ病はSSRIによってつくられているのか


© NIPRO

とくにここ数年すさまじい数が処方されているSSRIは、無感情や無気力といったアパシーの症状がとても強くあらわれます。

「〇〇の症状を治したくて抗うつ薬を飲み始めたのに、気づいたら△△の症状がではじめた」ということです。

しかし、長い期間SSRIを飲み続けていると、こういった症状にもあまり気づかなくなります。自覚症状があってもいつものことだからと深く考えないわけです。

「社交性不安障害を改善したくて抗うつ剤を飲みはじめ、最近は以前のような症状が落ち着いた。けれど、なんだかとても無気力でやる気がない。」

これはたとえですが、もしこれに似たような状態であれば、それはSSRIなどの抗うつ薬に原因があるかもしれません。

もっと慢性的な重症例でいうと、「休日になると寝たきりで、友達との外出はもちろん家事すらやる気が起きない。」ちなみにこれは以前のわたしです。

長期投与により前頭葉のマヒ

じつはSSRIの副作用に『前頭葉類似症候群』という症状があります。

これはSSRIの長期投与により前頭葉のドーパミンやノルアドレナリンの活性が低下するために起こる症状で、薬により耐性ができるような感覚でしょうか、なにごとにも無関心になる、いわばうつ病が悪化したような状態です。

わたしはこれまでずっと原因不明の疲労感、全身がどーんと重いような鈍い感覚、そして言い訳ばかりして物事を先延ばしにするほどの無気力、音楽や映画をみてもさほど感情が湧き上がらない無関心と無感情でした。

もちろん個人差はあるものの、SSRIの長期服薬はこういった症状をおこします。

そしてとても恐ろしいのが、気分はふつうで元気ということ。だから深く考えず、「自分はこういった性格なんだ」と思い過ごしてしまいます。

SSRIを飲んでいて「どうも身体がしんどい」という人は、この前頭葉類似症候群かもしれません。

SEKAI NO OWARI が教えてくれていた

セカオワの深瀬は自身の銀河街の悪夢という曲でこのように歌っています。

憂鬱を抑えてくれるアノ子の呪いは
絶望だけじゃなく希望も無くしていく

これは抗うつ薬のことです。

ようするに薬によって感情を制御されてしまったいま、辛くて苦しいことは消えたがそれと同時に楽しくてうれしいと思うことも消え、新しくなにかに挑戦することはもちろん日常生活のモチベーションさえ奪われてしまった。

これは前頭葉類似症候群のことも意味しています。

副作用による本末転倒のリスク

一般的にうつ病、強迫性障害、パニック障害、社交不安障害などの気分障害の治療に使われる抗うつ薬。しかし、その症状を改善するために新たなうつ症状を招いていることに気づくべきです。

よく「抗うつ薬は飲まない方がいい」といいます。もちろんその理由には簡単にはやめられないという薬物依存のような状態に陥りやすいからでもありますが、それと同じくらい抗うつ薬の副作用が厄介だからです。

抗うつ薬を飲む理由と、抗うつ薬による副作用を天秤にかけることも大切です。もしすでに症状が安定してるのなら、徐々に減薬していくといいかもしれません。

しかし、長いあいだ飲み続けていると、いま精神的な症状が落ち着いているのは薬を飲んでいるからなのか、すでに心身が回復していて病気が治ったのか、この判断がわかりません。

精神科への通院がルーティンになっているのなら、受け身ではなく主治医に相談することも大切です。

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