はたしてコストコは安いのか、5,000円近い年会費のもとは取れるのか。いろいろ気になるところですが、結論からいって節約のためにコストコを利用するならやめたほうがいい。決して得ではなく、ただ支出が増えるだけです。
「でも、たくさん買うからそれは承知のうえ。1個あたりで計算するとコスパいいでしょ?」いや、ちょっと待ってください。それは、コストコだから大丈夫という思い込みです。
そもそも、コストコは節約になる!という考え方から間違っています。
コストコの食品は安くない
コストコ利用者の多くはトイレットペーパーなどの消耗品に加え、アメリカンビーフ、オージービーフ、カナダ産三元豚、バナナ、パイナップル、サーモン、ソーセージなどの生鮮食品が目当てでしょう。
どれも大容量なので、あとから小分けにして冷凍保存すれば数ヶ月もつ。すると、1つあたりの値段は高くても100gあたりのコスパで考えると安い、そう錯覚します。しかも、生活に必要なものと思うと深く考えずカートに詰め込んでしまうのもコストコの恐ろしいところです。
じつはそれ、近所の業務用スーパーの値段とほとんど変わりません。また、冷凍パックの肉や魚に関しては業務用スーパーのほうが安いこともあります。
例えば、ブラジル産 マテ茶鳥もも正肉2kgのコストコ価格は880円。でも業務用スーパーの価格は2kg798円。お菓子や冷凍食品も、けっきょくはドンキの驚安アイテムのほうが安いこともしばしば。
そして、大容量かつまとめ買いすることの多いコストコは、家計簿管理がしづらいのも落とし穴。実際に家計簿アプリで月の食費が予算オーバーでも、コストコで数ヶ月分まとめて買ったから仕方ないと思ってしまえばそれまでです。
大容量だからコスパがいいとは限らない
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チョコレート、ポテチ、ナッツ類、ケチャップ、ドレッシング、ディナーロール、オリーブオイルなど、すべてが大容量サイズ。そもそも、これが魅力でコストコに出かけますし、普段目にしない特別感を味わえてワクワクします。
いや、それがダメなんですよ。あくまでコストコで買う商品は生活に必要なものですよね。それなのに、このテンションで食品や消耗品を買い物していては無駄なものを買ってしまうんです。
そして、何度もいいますが、「大容量サイズだから値段が高いのはしかたない、だってコスパで考えたら安いから」という考え方は間違っています。
例えば、カークランドのバスティシュは43.2m 30ロールで2,400円ほど。でも、ドンキの驚安アイテムならダブルのトイレットペーパーは25m 12ロールで200円ほどです。これを単純に2倍で計算すると50m 24ロールで400円、トイレットペーパーはコストコよりドンキで買ったほうが断然安いことがわかります。
バスティッシュの魅力は分厚い生地ですが、けっきょく1回あたりの使用量はシングルもダブルも肉厚もそんなに変わりません。
もちろんトイレットペーパーだけでなく、例えばフィッシュオイルやギャバのサプリメント、カナダやアルゼンチン産のはちみつ、たいていの商品はアマゾンの通常価格と同じか定期おトク便でさらに安く買えます。
カークランドシグネチャーにこだわるのなら別ですが。
コストを重視すべくコストコを利用するのに、アメリカンサイズの商品単価を把握せずに買うのは、まさに本末転倒です。
もちろん、なかにはコスパのいい商品もありますが、すべての商品が安いわけではありません。その見極めを1個1個しなければいけないわけです。
実際にコストコのお客さんを見ていると、「よくもまあ、あんないっぱい入ったものを値段も見ずにカートに入れるなー」と思う人がたくさん。
こうやって雰囲気につられついついカートに入れてしまった大容量の商品は、食べきれずに残ってしまうか、いずれ破棄する始末。また、冷蔵庫や収納棚の奥にストックされたままでしょう。
ついついぶっ込みたくなる大型カート
コストコに買い物かごはなく、用意されたのは「どうぞ買ってくれ!」といわんばかりの大型カートのみ。これこそ、コストコに行くとついついたくさん買ってしまう理由のひとつでしょう。
思い出してみてください。100均やドラッグストアに行くと、ほどよい大きさの買い物かごがあります。そして、私たちは欲しいものがあって訪れたわけですから、あまり深く考えずカゴに商品を入れてしまいます。
そのとき、商品をうまくカゴに収めようと無意識のうちに思っているはず。なので、カゴにすき間があればそれを埋めたくなります。そして、ついつい余計なものまで買ってしまうというわけです。
これは、消費者の心理をうまく利用した販促方法です。
コストコはこの買い物かごが大型カートに変わっただけ。もちろん、私たちはコストコでもこの消費者心理が働きます。しかも、わざわざコストコに来たという特別感とコストコの商品は安いという思い込みから、近所のスーパーなら絶対に買わないようなものも、なんら抵抗なく大型カートに入れてしまいます。
食品が店内の一番奥にある理由
コストコの醍醐味はデリカでしょう。サクサクでモチっとしたクロワッサン、肉厚のとろサーモンとマグロがたっぷりのにぎり寿司、照り焼きの香りがたまらないグリルチキン。誰もがこの記憶に惑わされ、無意識のうちに倉庫の奥へと進んでいきます。
しかし、この食欲につられデリカコーナーへ行く途中、どうしても入り口の家電製品、日用品、アパレル、雑貨などお目当以外の特売品が気になるんです。すると、大きなカートにはまだまだ余裕がありますから「〇〇、安いから買っておこう。そういえば△△必要だったっけ」といったようについつい手が伸びてしまいます。
倉庫の一番奥にあるデリカコーナーからレジへ向かう途中にもさまざまな商品に目移りしがちです。また、お目当の食品をカートに入れたのなら「これだけ買うのは忍びない」といった心理が働き、「どうせ買うんだからこれも一緒に」とついつい財布の紐がゆるみます。
ようするに、目的の商品があってコストコへ来たけれど、気づいたら全然関係ない商品も買っていたということになるわけです。
どんなお店も売れ筋商品や消耗品は店内の奥に配置され、ついで買いを期待されています。このついで買いの心理こそ、コストコのような誘惑に満ちた空間ではうまく操られてしまうんです。
年会費4,840円はディズニーでいう年パスと同じ
「ていうか、べつにコストコは安くないって知ってるし」という人も、なぜわざわざコストコに行ってしまうのでしょうか。
例えば、100gあたり98円の国産豚バラ肉を業務用スーパーで買っても、たいして楽しくない。けれど、たとえ少し高くたってコストコで買えば、ちょっとした非日常が味わえて気分が満たされる。
けっして店舗数の多くないコストコは、週末に家族や友達と一緒に遠方から出かけることがほとんど。この、レジャー気分がわざわざコストコに行きたくなる理由でもあります。
けれど、節約を理由にレジャー気分で生活必需品を買うのは、デメリットだらけ。冷静な判断力を失いついつい無駄遣いをしてしまうことに。
だって、コストコの商品がネットで買えるとしたら、同じようには買いませんよね。
「コストコで節約はできない、年会費はテーマパークの入場料だ!」この考え方が結構しっくりくるのでは?
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