潔癖症の原因は親にある?「汚いところ」は母親に教えられた

その知識は母親から教えられた

「そこは汚いから触らないで」

子どものころに母親からそう言われて育った人は、身の回りのきれいな箇所と汚い箇所の見分けがつくのではないでしょうか。

そもそも子どもは知識がありませんから、親や友達など周囲の言動から学び経験をとおして成長していきます。そのなかで、タフな性格や健康的な免疫を獲得するためには、あれこれ口を出さず自由に遊ばせるくらいがちょうどいいといいます。

しかし、いちいち子どもの行動に口を出してしまう母親も少なからずいます。「そこはばっちい」「触ったらダメ」「帰ったら手を洗おうね」と。

これは、しつけの一環、自分が気になるから、いきすぎた愛情など原因はさまざまですが、この過度な指摘が大人になってからの潔癖症や不潔恐怖の原因につながっているかもしれません。

それは「あ、ここは汚いから触らないほうがいいんだ」といった考え方の癖ができてしまい、周囲に対して敏感に育ってしまうからです。言われなければ知らないまま育ったのに。

大人の感覚で子どもに教えてしまう母親こそ、少し知識が足りないように思えます。また、自身も潔癖症で我が子もきれいでいてほしいという想いがあるのかもしれません。

その母親は愛情の与え方が不器用だった

「家に帰ったらまずは手洗いしてね」といったしつけはまったく問題ありませんが、必要以上なしつけはよくありません。

なにも言われることなく自由に育った子どもはタフで楽観的な性格に、あれこれ指摘されて育った子どもは神経質で繊細な性格になりやすい傾向があります。

母親が『こうあるべき』と子どもに描く理想は、実際には押し付けるべきではありません。これは子どもにとってきゅうくつで不自由、よくない思い出として刻まれるからです。

過干渉や過保護な親に育てられた子どもはあまり愛情を与えられなかったと思いがちです。しかしそれはむしろ逆で、誰よりも一生懸命で愛情深いからこそついつい行き過ぎてしまったり、愛情の与え方や子どもとの接し方が少しズレていたためにそう感じてしまっただけです。

幼少期に母親から受けた影響は自分の価値観や人格形成に大きく関係します。そして残念なことに、大人になってからも覚えていることはたいていがこういったショックなできごとで、ある種のトラウマとなって残ります。

こういった過去のコンプレックスが自分の性格のよくないと思う部分にあらわれてしまうことも、少なからずあります。

なぜ自分は潔癖症や不潔恐怖に悩んでいるのかと思ったとき、自分の母親はどのような性格だったのか、自分は母親にどのように育てられたのかを思い返してみると答えが出るかもしれません。