消えない不安と心配 考えすぎる性格の特徴と改善策

すべては「まあいいか」と思えないから

誰だって考えることはあります。仕事の人間関係、日常に起きたちょっとした出来事、病気や将来のことなど、わたしたちの日常生活はつねに考えることであふれています。

しかし、深刻に考えすぎる人もいれば一晩寝たら忘れてしまう人もいます。その違いはなんでしょうか。それは「まあいいか」と思えるかどうかです。

例えば、胸に違和感があるとします。物事を悪い方に考えてしまう人は「自分はなにか重大な病気なのではないか」と心配になり、ネガティブな悪い考えに囚われてしまいます。

しかし、深く考えない人は「時間が経ったら治るだろう」とほとんど気にしません。

このように、深刻に考えすぎる人の特徴はほんの少しの可能性さえも「もしそうなったらどうしよう」と過大に気にしてしまうところ。100あるうちの1でも不安要素があることには変わりなく、これが解決できるまで考え過ぎてしまうというわけです。

グレーゾーンを知らない

考えすぎる人にはグレーゾーンがありません。完全にシロかクロにわけないと気持ちが落ち着かないんです。例えば、「このまえ上司に提出した書類、もしかしたら間違っていたかもしれない」と不安になったとします。もう提出してしまった書類は修正できませんが、この場合は間違っていたかもしれないと心配になる箇所を修正するまで解決しません。

必ずしも書類に間違いがあるわけではないのに、この問題をシロにするまで不安でしかたなく、このグレーの状態がとても苦手です。

しかし、このグレーをシロに変えようとする考え方の癖は、知らぬ間に過大なストレスをもたらします。健康的にもよくないということです。

完璧主義者でストレスを溜めやすい

考えすぎる人の性格は完璧主義であることが多く、物事をきっちりしないと気が済まないタイプでもあります。そのため、悩みごとに対しても融通がきかず、自分の極端な考え方に押しつぶされてしまいます。

この完璧主義は決して悪いことではありません。与えられた仕事をきちんとこなし他人よりも高いクオリティーで成果をあげることが得意ですし、時間や社会ルールを厳守することができます。

しかしその反面で、妥協や曖昧にすることが苦手です。時間や体力的に余裕がない状態でもいつもどおりの完璧を目指さないと気が済まないので、大雑把な人と比べて日常生活でストレスを溜めやすくなります。

人生はときにイレギュラーな出来事に遭遇しますから、いつでもすべてのことを完璧にこなすことはできません。こういったときに「まあいいや」ではなく「ちゃんとやらなきゃ」と思ってしまう人ほど、完璧主義でストレスを溜めやすい傾向にあります。

マジメで考えすぎる性格は病気になりやすい

真面目、神経質、責任感が強い、完璧主義などの性格はストレスを溜めやすく、そのストレスを引き金にうつ病や強迫性障害を発症してしまうことがあります。うつ病と強迫性障害に明確な原因はありませんが、どれももともとの性格の特徴や考え方の癖が関係しています。

真面目で完璧主義なのは悪いことではありません。むしろ自堕落で適当な人よりも優れています。しかし、あまりキッチリし過ぎていると、ストレスや疲労が溜まったときなどにうつ病や適応障害などを発病してしまう可能性があるわけです。

考えすぎる、気にしすぎる性格そのものが病気ではありません。しかし、その背景にあるのは自尊心の低さや真面目な性格です。

べつに精神的に強くなる必要はありません。しかし、少し気を抜いてラクに生きたほうが人生がうまくいきますし、不安神経症などの病気にならずにすみます。

結局なるようにしかならない

不安や心配事を深く考えず「なるようになるさ」と考えられる人はそのぶんのストレスがなく、仕事や人間関係でストレスが溜まったときは自分なりの解消法をもっています。

頭で考える時間と、それにより精神と体力を消耗することがありませんから、つねに前向きで楽しくいられるわけです。

何事も考えすぎないほうがうまくいく理由はこれです。

しかし、考えることが悪いことではありません。いつも深く考えすぎる自分を改善しようとすると、逆に頭で「考えないようにしよう」「もう悩まないようにしよう」と考えてしまい、よけいに混乱します。

なので、まずはそんな自分を受け入れてみてください。つい考えすぎてしまう性格が自分という人間なんですから。そして、少しリラックスしたらハーブティを片手に好きな音楽を聴いて、一度こころを解放しましょう。

人間は死んだら終わりですが、早く解決しないと死んでしまうような悩みなどそうそうありません。たいていの悩みごとはいますぐ死ぬようなことではないので、大丈夫なんです。

いつも楽観的でケセラセラのような人になれというわけではありません。悲観的でネガティブ思考でも、その性格が自分という人間だからです。

しかし、何事もほどほどがいちばんということは忘れないでください。あまり深く考え過ぎず「なるようになるさ」と少しでも早い段階で思うことができれば、だいぶ気持ちがラクになりストレスから解放されます。

不安を受け入れると解決する

物事を悪い方に考えてしまうのは、病気というよりも自分がそのリスクに対して完璧に備えていたいという心理が強いからです。

例えば、自分の行動が原因で友達に嫌われたのではないか、傷口から菌が入って感染症にかかったのではないか、仕事のミスが出世に影響し収入が減ってしまうのではないか。物事を悪い方に考えてしまうということは最悪のケースを予測しているということ。その可能性はどのくらいなのか、そうなったとき自分はどうなるのかと自ら悩みごとを大きくし、また新しい問題が出てくるなど悪循環に陥ります。

この最悪のケースは必ず起こるわけではありませんが、可能性がゼロとは言い切れないから不安になります。しかし、よく考えください。いま不安に思っていることは車を運転していて交通事故に遭う確率とどちらが高いでしょうか。

どんどん悪い方向に考えてしまったら一度ストップし、「そうなったらなったとき」と開き直ることも大切です。そして、もし最悪のケースが訪れても大丈夫というくらいの強い自分をもつことができれば、物事をそこまで悪い方に考えなくなります。

なにか心配や不安なことがあっても、もしそれが現実になっても、べつにそれでいいと思えるくらいがちょうどいいんです。すべてのリスクを完璧に取り除くことはできません。それよりも今を楽しんだほうがいいに決まってます。