アトピー性皮膚炎の症状に悩むわたしたちは、なによりも入浴が苦手です。シャワーの刺激でジュクジュクの炎症は痛いし、せっけんはしみるし、お湯で温まるとかゆみが増すし、お風呂上がりは乾燥してかゆいし… なにひとつといいことがありません。
毎日の頻度で清潔をたもつ
たまに「アトピーは過度に清潔を保ちすぎるから悪化する、改善しない」「だから、お風呂はシャワーだけにするかお風呂自体を断つ、いわゆるお風呂断ちをしなさい」という意見を耳にします。
しかし、わたしはあまりそう思いません。適度に清潔を保たなければ、からだに残った汚れが原因となりアトピーのかゆみを引き起こすからです。
お風呂は正しく入れば辛くない
わたしは赤ちゃんのころからアトピー性皮膚炎を患い、子どもの成長期から思春期をこえて、大人の社会人になってもアトピーは治りませんでした。むしろ、ストレスと戦う成人になってからアトピーはひどくなった気がします。
しかし、アトピーと向き合いものごとの本質を見抜くようになってからは、アトピーとうまく付き合うことができています。逆に言えば、アトピーのメカニズム、ものごとの本質を理解せずに皮膚科医の言いなりになっていてはアトピーは改善しません。
ここではそのなかのひとつ、アトピーの負担を最大限に抑えながらアトピーを改善していく、アトピーのための入浴方法をご紹介します。
シャワーだけはアトピーを悪化させる
わたしの経験からシャワーだけで済ますことはアトピーの症状を悪化させます。その理由には、シャワーが患部を刺激してしまうこと、シャワーでは十分にボディソープが落とせないことがあります。
わたしはシャワーをからだに当てすぎないようにし、ある程度流したら湯船に浸かるようにしています。肌への刺激を最低限にとどめておくことも、デリケートなアトピー性皮膚炎には大切です。
一般的なせっけんは使わない
アトピー性皮膚炎を悪化させないためにも、ボディソープやシャンプーにはとても気をつかわなければなりません。しかし、テレビCMやネットの広告にまどわされてアトピー専用の薬用ボディソープやシャンプーを買ってはいけません。
ミノン、キュレル、コラージュフルフル、オクトなどアトピー向けにさまざまな商品がありますが、どれもアトピーにとっては刺激物とされる界面活性剤や香料が入っているからです。
もちろんシャンプーもh&sやパンテーンなどのヘアケア商品は使うべきではありません。髪にいいからといってトリートメントをなじませる行為もよくありません。けっきょく刺激物が少しでも残った状態が続くとそれがかゆみにつながり、ゆえに炎症が起こるからです。
本来シャンプーやボディソープは必要ない
基本的にはからだの汚れはお湯で洗い流すだけで十分です。しかし、アトピーは皮膚についたブドウ球菌などの悪い菌を殺すことが悪化を予防しながら改善するうえで大切なので、わたしは余計な成分が一切入っていないミヨシの 無添加せっけん泡のボディソープ で頭皮、髪、からだを洗っています。
まず、シャワーやお湯で汗や皮脂汚れを落とします。つぎに、手のひらで泡立てた無添加せっけんをやさしく肌になじませていきます。このとき必ず素手でおこない強くこすらないこと。ジュクジュクの炎症に無添加せっけんはとてもしみるので、アトピーの症状がひどい箇所は避けて使います。
すすぎ残しがないようにしっかりとせっけんを落とします。せっけんカスが少しでも残っていると新たなかゆみの原因となります。耳の後ろやデリケートゾーンも入念にすすぎます。
しかし、シャワーですすぐ習慣がある人はある程度すすいだところで湯船に浸かります。刺激を抑えるためにもお湯の中でせっけんを落とすような感覚でからだをきれいにしていきます。
入浴剤は入れない
保湿効果のある市販の入浴剤、痒みを抑える湿疹に効きそうな薬用の入浴剤、いずれもアトピー性皮膚炎にはおすすめできません。わたしは過去にアトピタやエモリカを使っていたことがありますが、どの入浴剤も刺激が強すぎてアトピーが悪化してしまいました。
アトピーに効くと思い込んでしばらくのあいだ使っていたので、全体的に赤みが増して症状が悪化していたときには大変ショックを受けました。
一見アトピーに効果がありそうな温泉の素などの湯の花も、けっきょくは香料や着色料が成分に含まれていることが多いので避けるべきです。
アトピーに刺激物は悪影響です。お風呂に入浴剤を入れないことでアトピーが良くなるわけではありませんが悪化することはありません。シンプルイズベストを意識して、お風呂には入浴剤を入れないようにしましょう。
天然のヒバ油を入れる
わたしはいつも浴槽に青森の ひば油 を数滴入れます。ヒバオイルとは殺菌や保湿作用がある天然のオイルです。楽天やヤフーで100ml3,000円と少し割高ですが、原液を薄めて使うので1本で数ヶ月もちます。
このひば油がすぐれもので、アトピー性皮膚炎の症状を使うたびに改善してくれます。
38℃くらいに設定したぬるめの湯船に原液のヒバオイルを数滴いれてかきまぜます。ひば油には ナノヒバオイル というエタノールと水で薄めたタイプも販売されていますが、こちらではなく通常のヒバオイルを使います。
ヒバオイルを入れたお風呂に浸かると、からだがヌルヌルし全身にヒバオイルが浸透していると実感します。そして、そのままお風呂を出ると全身がしっとりしていることに気づきます。
これがひば油のすばらしいところ。アトピーのつらいお風呂上がりをいとも簡単にラクにさせ、カサカサピリピリの乾燥肌から守ってくれます。また、ヒバオイルの効能である殺菌作用がアトピーに悪影響の菌を殺してくれるので、アトピーの治療にもひと役買ってくれるわけです。
お風呂場の中でからだを拭く
お風呂上がりにそのまま脱衣所へ出てはいけません。急な温度差でせっかく保湿された肌が乾燥してしまいます。わたしはお風呂の窓はもちろん脱衣所のドアもしっかり閉めておき、お風呂上がりに部屋全体が湯気で加湿された状態をつくります。このとき換気扇もまわしません。
そして、浴室の中でからだを拭きます。そうすることで肌の乾燥を防ぐことができお風呂上がりのかゆみを抑えることができます。また、コットン100%やパイル生地の吸水性が高いバスタオルを使い、トントントンと水分を吸収するようにからだを拭いていきます。
お風呂上がりは脱衣所へ出ずに浴室の中でからだを拭く、吸水性の高いタオルを使いトントントンと水分を吸い取るようにからだを拭く。たったこのふたつでお風呂上がりの乾燥によるストレスは大幅に減らすことができます。
「これでもか!」というくらい保湿する
アトピーに効くおすすめの保湿クリームは市販のニベアより ヴァセリン (ワセリン)、そして セタフィル です。
わたしは手にたっぷり取ったセタフィルの モイスチャライジングローション を頭の先から足の先までまんべんなく塗り込みます。これはびっくりするほど伸びがよくベタつかない。しかも、余計な刺激成分が入っておらず香料や保存料ともに無添加、赤ちゃんも安心して使えるくらいデリケートなアトピー肌にとって大変おすすめの保湿クリームです。
スキンケアに使う保湿クリームはステロイドと一緒にヒルロイドを処方してもらう人が多いかもしれません。しかし、皮膚科で処方してもらえるヒルロイドローションは内容量が少なく、たとえ3割負担でもそこそこ割高になってしまいます。そのため、まんべんなく全身に使いづらいというデメリットがあります。これではせっかく保湿ケアをしているのにもったいない。
アトピー性皮膚炎のスキンケアでいちばん大切なことは保湿です。そして、保湿剤の容量と経済的な面の両方に余裕がなければ十分な保湿ケアができません。そんななかでセタフィルのローションは低刺激、高保湿、大容量、低価格といったすぐれたコスパを誇ります。
わたしはいつもセタフィルが最安値のコストコで買いますがコストコまで買いに行くのが面倒なときは、アマゾンでヴァセリン(ワセリン)を買って代用しています。
お風呂上がりのほてったからだにワセリンを塗ると、体内に熱がこもって全体の体感温度が上がります。また、とてもベタつくので使い心地は不快です。しかし、保湿力はとてもすぐれていてセタフィルのローションやクリームよりも肌を守ってくれる感じがするので、この一点だけでもワセリンを使おうと思います。
無理のないやり方でアトピーを改善(完治)する
- シャワーの刺激を最大限に避ける
- たとえアトピー向けであっても一般的なボディソープは使用しない
- お湯で洗うだけでも十分だが、殺菌するために無添加せっけんを使う
- すすぎ残しをなくすためにも、必ず湯船につかる
- 原液のヒバオイルを湯船にすこし入れる
- 脱衣所ではなく浴室の中で体を拭く
- 吸水性の高いタオルで水分を吸い取るように拭く
- 脱衣所のドアは閉めておき湯気で加湿しておく
- 時間をあけずに保湿クリームを全身に塗る
肌への刺激を避け、効率よく汚れや細菌を落とし、理想的な方法で保湿する。これがわたしのたどり着いたアトピー性皮膚炎にいい入浴方法です。すべてできなくても、ぜひ可能な範囲で試してください。
アトピーの治療はステロイドやプロトピックを塗るだけではありません。かゆみ止めを飲んでもつよい薬を塗っても、生活習慣が理にかなっていなければアトピーが治ることはありません。アトピーのメカニズムを把握して自分なりに試行錯誤を繰り返すことで、はじめてアトピーが治るゴールへ一歩近づくのだと思います。
これ以上大きく体質が変わることのない大人は、アトピーを完治させるというよりもうまく付き合う方法を考えるべきかもしれません。そう思ったとき、この入浴方法はとても効果的ではないでしょうか。